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「平均の平均」と「全体の平均」が一致するとき



例を用いて説明します。構成人数20人のグループAと構成人数30人のグループBに算数のテストを受けさせたところ、グループAの平均点は50点、グループBの平均点は60点であったとします。このような場合、グループAとBを合わせた「全体の平均点」は、Aの平均点とBの平均点の相加平均(単純平均、算術平均とも)ではなく、グループごとの人数を重みとした加重平均で求めなければなりません。すなわち

\frac { 50 + 60 } { 2 } = 55

と計算するのは誤りで、

\frac { 50 \times 20 + 60 \times 30 } { 20 + 30 } = 56

が正解です。

ところが、両グループの人数が等しい場合は、平均点と平均点の相加平均と「全体の平均点」(加重平均)が一致します。たとえば前述の例において、両グループの人数がどちらも20人であったならば、両グループの平均点の相加平均は先程と同様に

\frac { 50 + 60 } { 2 } = 55

のままですが、加重平均は

\frac { 50 \times 20 + 60 \times 20 } { 20 + 20 } = 55

となります。このような場合、相加平均で計算しても加重平均で計算しても結果は一致します。

より一般化して考えてみましょう。n個の平均値の相加平均は

 \frac { \sum _ { i = 1 } ^ { n } \overline { x } _ { i } } { n }

です。 一方で、n個の平均値の加重平均は

\frac { \sum _ { i = 1 } ^ { n } \overline { x } _ { i } w _ { i } } { \sum _ { i = 1 } ^ { n } w _ { i } }

となります。この式は、もしそれぞれの重みの大きさw _ { i }が等しかった場合は

\frac { \sum _ { i = 1 } ^ { n } \overline { x } _ { i } w } { \sum _ { i = 1 } ^ { n } w }

= \frac { w \sum _ { i = 1 } ^ { n } \overline { x } _ { i } } { n w }

= \frac { \sum _ { i = 1 } ^ { n } \overline { x } _ { i } } { n }


となります。すなわちn個の平均値の相加平均と全く同じ式になります。

このように、重みの大きさがすべて等しい加重平均は相加平均に一致します。このため、前述したテストの例のように「平均の平均」と「全体の平均」が一致する結果が生じます。この知識は、計算量を減らしたい場合などに役立つかもしれません。